自筆証書遺言を作成するポイントは、以下の4つです。
①遺言者本人が、自分自身で書く
②日付を記載する
③署名をする
④捺印する
自筆証書遺言はその名の通り、遺言者本人が作成する遺言書です。財産の内容を示す「財産目録」についてはパソコンでの作成が認められるようになりましたが、それ以外の部分はすべて自分で書かなければなりません。自筆証書遺言が有効になるためには厳格な条件があり、一部でも他人が代筆したりパソコンで作成したりしていると無効になります。
【自筆証書遺言のメリット・デメリット】
自筆証書遺言には特別な手続きは必要ないため、無料で時間と場所を問わずお手軽に作成できるのがメリットであると言えます。これまでは紛失や盗難のおそれ、遺言者が亡くなっても発見されないおそれ、家庭裁判所による検認の必要性がデメリットとしてあげられましたが、2020年7月10日から法務局が自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。
しかし、注意すべきポイントがあります。
◆必ず遺言者本人が法務局に出向き手続きをしなければならない
◆写真付きの本人確認書類が必要(運転免許証、マイナンバーカード、運転経歴証明書など)
◆法務局では内容が適正までかはチェックされません
つまり、書き方、内容が適正でなければ遺言書は無効になる可能性があります。
公正証書遺言
公正証書遺言の作成手順
公正証書遺言の作成手順です。ご本人による必要な書類や財産の調査、公証人との打合せ予約等手間がかかりますので、専門家に依頼した場合の手順になります
①専門家(当事務所行政書士)が文案を作成する。
②行政書士が公証人と打ち合わせをし、公証人が文案チェックと費用を提示する。
③公証役場の文案を依頼者者に提示し確認後最終決定となる。
④証人二人が立会いのもと、公証役場で公正証書遺言を作成する。
財産金額によって公証役場への手数料は変わりますが、公証人が作成するので形式不備で無効となるリスクがなく、もっとも安全で確実な遺言書となります。
【公正証書遺言のメリット・デメリット】
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言となります。専門家のもとで相続人と確認を取りながら作成する遺言書なので、内容に不備が生じる可能性が低く、保管も任せられるので偽造、紛失の心配がありません。また公証人が遺言能力を確認しますので、遺言能力で揉めた場合も有効性が否定されるリスクが軽減されます。3つの形式の中で最も確実に遺言の内容を実現できるのが公正証書遺言のメリットです。
デメリットとしては、事前に公証役場に申請する必要がありますので、最も手続きに手間がかかる形式でもあります。また公証人への手数料がかかる点にも注意しなければなりません。
秘密証書遺言
秘密証書遺言の特徴
秘密証書遺言とは、公証人と証人2人以上に遺言書の存在を証明してもらいながら、公証人、証人、相続人含め、本人以外内容を見ることができないので、遺言書の内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。遺言書が発見されないケースを防ぐことができ、遺言の内容を秘密にしておくことができるのが、秘密証書遺言の特徴です。
ただし、他の方法と比べ手間がかかったり、記載に不備があると無効になるなど確実性に欠けるため、利用の割合は非常に少なくなっています。
【秘密証書遺言のメリット・デメリット】
秘密証書遺言は手続きの際に公証人と証人に内容を公開をする必要がないので、誰にも遺言の内容を知られずに遺言の存在だけを認識させられるのがメリットと言えます。
しかし、誰にも内容を公開しないことから不備があっても誰にも指摘されないため、不備があれば遺言内容が無効になることがあります。また、手続きが済んだ後は自分で遺言書を持ち帰り保管する必要があるため、紛失・盗難のリスクを避けられないのも秘密証書遺言のデメリットです。